革新的な鮮度保持技術を活用した国内初の試み 国産果物の海外への海上輸送実証実験をスタート

記者資料提供(2023年7月11日)
企画調整局東京事務所・経済観光局新産業創造課

神戸市は、株式会社日立製作所をはじめとした物流分野のイノベーションをめざす6社と連携し、革新的な鮮度保持技術を活用して、国産果物をコストの安価な通常コンテナで海外へ海上輸送する実証実験を実施します。輸送コストを低減し価格競争力向上による輸出促進や、CO₂排出・食品ロス削減によるカーボンニュートラル、ドライバーの2024年問題にも貢献する国内初の試みです。

1.実証の背景

国産果物は海外で評価が高く、国の農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略の重点品目となっています。一方、鮮度が劣化しやすい日持ちの短い果物は、航空輸送や冷蔵コンテナによる海上輸送での輸出が一般的で、コストの高さと価格競争力確保の難しさに加え、環境やドライバーへの負荷も大きいのが実態です。

2.実証のポイント・目論見

革新的な鮮度保持技術(食品保護・断熱)により、通常コンテナでの果物の海上輸送を実証します。海外輸送の課題を解消し、果物の輸出拡大やカーボンニュートラル、ドライバーの人手不足といった社会課題に貢献することをめざします。

【食品保護技術】ナノスーツ処理

浜松医科大学及び大学発ベンチャー・ナノスーツ社の特許技術。生体適合性高分子※を主成分とする溶液を、果物等に塗布しプラズマを照射すると食品表面にナノ薄膜が形成される。ナノ薄膜が果物を包み込むことで、カビなどの腐敗を防ぎ、鮮度保持期間を飛躍的に延ばす。競合技術に類を見ない革新的な技術と評価され、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)から研究開発支援を受ける。
※国際連合食糧農業機関(FAO)から認可され日常的に食されている食品添加物(糖、アミノ酸等)

(参考)ナノスーツ処理による食品保護の仕組み(PDF:138KB)

【断熱技術】DNP多機能断熱ボックス

大日本印刷社の非電源でも内部の温度を長時間一定範囲に保つことができる高断熱性能を有するボックス。真夏の環境下で、冷凍・冷蔵機能を持たない常温車を利用した輸送でも低温を保ったまま輸送が可能。

3.実証スキーム

航空輸送が中心となっているぶどうを、通常コンテナで香港へ海上輸送します。輸送時は、QRコードで情報をトレースし可視化することで、積載の効率化や誤出荷防止など物流のスマート化を図るとともに、温度のセンシングを行います。香港現地で鮮度確認、評価を行い、実証結果を踏まえ、いちじく、いちごなどの果物での輸送実証も検討していきます。

 実証実験における役割
株式会社日立製作所実証実験テーマ創生支援/DX技術適用プロデュース(*1)
(IoTセンシング技術/温度検知ラベル検討)
株式会社神明輸出入手続き、グループ会社を通じた果物の提供(東果大阪)及び香港での果物評価(神明亜洲有限公司)
ナノスーツ株式会社食品保護技術・ナノスーツ処理の提供、鮮度の確認
大日本印刷株式会社断熱技術・多機能断熱ボックスの提供
山九株式会社物流トレース技術を活用した海上国際輸送のスマート化
株式会社LOZI物流トレース技術・スマートバーコードの提供
神戸市実証実験の調整

*1:日立製作所の協創拠点であるLumada Innovation Hub Tokyoにおけるデジタルイノベーション支援活動