中国より来たれ、学生! 神戸の大学への留学をサポート/神戸東洋日本語学院

日本の少子化は歯止めがかからず、2030年を迎える頃には、18歳人口が今より全国平均で約10%減ると予測されています。首都圏以外の地方では平均よりも落ち込みが激しく、近畿圏も例外ではありません。神戸市内には23もの大学・短期大学があり、約7万人の学生が通う、全国有数の大学都市です。少子化の厳しい環境の中、各大学が学生の獲得に努力をしていますが、国内だけでなく、留学生を増やす試みにも力を入れています。

国際港湾都市であり、古くから外国に開かれたまちである神戸は、在留外国人も多く、多様な文化を育んできたことから、留学生にとっても学びやすい環境が整っているといえます。現在、大学・短大には約4,000人の留学生がいますが、さらに増やしていくために、市としても神戸への留学の魅力をPRするWebサイト(KOBE STUDY ABROAD)で情報発信をするなど、様々な支援を行っています。

神戸東洋日本語学院の留学生獲得支援事業は、こういった大学や市のニーズを捉えた企画として、CO+CREATION KOBE Projectに採択されました。2003年の創立から20年以上の日本語教育の実績がある同校は、約500名が在籍し、その約7割が中国の学生です。彼らは、中国で高校を卒業してから同校に入学し、日本の大学への進学を目指すケースと、中国の大学を卒業してから同校に入学し、日本の大学院への進学を目指すケースがあります。どちらも約2年の丁寧な指導で、しっかりと日本語能力が身につくと多くの留学生から支持されています。

神戸東洋日本語学院 事業部部長・藤本さんと、外事部部長・石橋さんに、今回の提案内容をお伺いし、「神戸留学体験ツアー」の一部を取材した様子を交えてお届けします。


高校在学中に神戸を訪れ、大学を見学する意義

今回の提案である「神戸市内の大学における 留学生獲得支援事業」は、日本への留学先としては、東京や京都に比べて、まだまだ知名度が低い「神戸」を、中国の高校生に知ってもらい、併せて大学見学をすることで、具体的なイメージを持って、神戸で学んでもらうことを目的としています。

中国から見ると、距離的に近いことと、同じ漢字圏なので学びやすいと、留学先として日本は人気があります。当初は大学を卒業したら中国で就職を考えていた学生も、住んでみると環境の良さや、中国国内にはない自由に魅力を感じ、大学を卒業した留学生のうち約30%がそのまま日本で就職しているというデータもあります。つまり、神戸に留学生を招くことは、多様な外国人人材を獲得することにもつながり、これからの時代、働き手が減少する経済界にとっても、とても重要な意味があることではないでしょうか。

当校は、中国・大連に事務所があり、留学に関心のある高校や大学と連携して、情報提供を行い、学生を集めています。今回の「神戸留学体験ツアー」は、中国・蘇州市の高校で募集をかけ、11月に実施した1回目のツアーでは14人、1月に実施した2回目のツアーでは10人の高校生が、実際に神戸を訪れて、大学見学や説明会に参加したり、日本文化を体験したりしました。こういった留学体験ツアーを企画し、中国の高校生に参加してもらうことは、未来の留学生を獲得するために、大きな効果があると考えています。

直接見て、聞いて。留学体験ツアーをレポート

1月に行われた、2回目の「神戸留学体験ツアー」に一部同行し、その様子をお伝えします。私たちがお邪魔したのは、4日目午前中の流通科学大学の見学プログラム。流通科学大学は、経営学やマーケティングに強い大学で、神戸市営地下鉄・学園都市駅から歩いてすぐの場所にある、広いキャンパスと近代的な校舎が印象的です。まずは、大学職員からのガイダンスを受けます。約400名の中国人留学生が学んでいることや、日本語学校の教職員が選ぶ「日本留学アワーズ」を3年連続で受賞していることが、通訳者を通して伝えられると、高校生たちは真剣な表情に。

創立者である流通の革命児・ダイエー創業者の中内功氏が、開学当時から留学生の受け入れに積極的であったことから、同大学は留学生受け入れの実績・経験が豊富で、環境が整っています。学費や勉学のシステムについても説明があり、留学生の不安に寄り添う、学びやすい仕組みが構築されていました。

一通り説明が終わると、次は学生寮の見学へ。「日本企業が外国人に求める力」の第1位は日本語能力ですが、第2位以下に「コミュニケーション力」や「協調性」が挙げられるといいます。そういった、日本社会独特の人間関係やルール、マナーについては、日本人と共同生活を送る寮生活で、身につけられるということでした。

参加した高校生に話を聞きました。

留学体験ツアーに参加したAさん、Bさん

Aさん「日本のマラソン選手・大迫傑さんが好きなのと、アニメも好きなので、日本に留学したいと思った。神戸はきれいな街だと感じる。不安は特にない。日本語で交流して、買い物が自由にできるようになりたい。東京や北海道に行ってみたい。将来は、健康・スポーツ分野で働けたらいいなと感じている」

Bさん「日本文化が好きで、特にアニメはたくさん好きな作品がある。神戸の街は、素晴らしいですね。ツアーは朝が早くて少し眠いです。将来の夢はまだありません。留学したら、ホームシックにならないか心配です」

まだ高校生ということもあり、就職までは具体的に未来を描いていないようでしたが、2人を含む今日の参加者は、2025年4月に留学予定で、まずは神戸東洋日本語学院で日本語を磨き、大学進学を目指します。

ガイダンスで説明をしていた職員の方がお話されていた、この言葉が印象的でした。

「こうして高校1年生のタイミングで大学を知ってもらえる機会はありがたい。海外人材の需要は日本でも高まっています。まずは世界中から、日本を選んでもらって、さらに神戸を選んでもらわないといけないですからね」

最後に、神戸東洋日本語学院のお二人に、事業実施後の感想などを、お伺いしました。

大学との連携をこれからも強めていきたい

CO+CREATION KOBE Projectは、神戸市公民連携のポータルサイトで知り、応募しました。神戸市の後援がついているということで、海外でアピールする際に、信頼感が増したことが、一番のメリットでした。

また、この留学体験ツアーを機に、神戸市内の大学と連携を強化する話が進んでいます。11月のツアーでは、兵庫県立大学と神戸国際大学に行きましたし、神戸芸術工科大学にも打診しました。今回は日程の都合が合いませんでしたが、次回もぜひやりましょうと言っていただいています。大学の方々からも、学生獲得の熱意を感じましたね。

今後は、日本語教育の認知度をもっと上げて、当校で学んでいる留学生が、もっと地域と関わるなど、留学生は何しているか分からない…という状況を変えていきたいです。大学・企業・自治体と連携しながら、いろいろな方法で、神戸の留学生を増やし、盛り上げていきたいと思います。

取材・文/松本有希(株式会社神戸デザインセンター)

写真/山下和希(株式会社神戸デザインセンター/流通科学大学部分)、神戸東洋日本語学院(撮影写真以外) 提供