視覚に障害がある方だけでなく、だれもが安全でスマートに移動ができるAI標識「NaviLens(ナビレンス)」の社会実証の実施

記者資料提供(令和4年2月3日)

神戸市では、最先端技術やデータを有する事業者からの提案を募集し、市内での技術実証・実装を支援する「Be Smart KOBE」プロジェクトを実施しています。

令和3年度は、AI・IoT等を活用して社会課題解決を目指す事業を公募し、事業実施候補者7社(組)7事業を選定しました。

この取り組みの一環として、特定非営利活動法人アイ・コラボレーション神戸(理事長 板垣 宏明)(以下、アイ・コラボレーション神戸)をプロジェクト責任者とした共同事業体が、カラフルな2次元コードを用いたAI標識「NaviLens(ナビレンス)」(以下、NaviLens)の実証事業を実施しています。

1.NaviLensの概要

 社会に数多く存在するバリア(障害、困難)。階段や段差、柱などの構造物だけでなく、わかりにくい表記の標識や社会の理解不足もバリアになり得ます。

 スマートシティのモデル都市として挙げられるスペイン「バルセロナ」ではAI標識「NaviLens」が採用されています。NaviLensは、スマートフォン等のモバイル端末に無料のアプリ「NaviLens」や「NaviLens GO」をダウンロードし、アプリを通して端末のカメラでタグ(A4サイズ)を読み込むと、12m離れたところから0.3秒で認識し、端末に目的地の内容・方向・距離などの案内が表示され、音声で読み上げます。GPSを使用しない為、屋外・屋内を問わず目的地までのルート案内が可能です。

 その他、GTFS(General Transit Feed Specification、公共交通に関する世界標準のデータフォーマット)を活用したバスや電車の経路案内や時刻表案内、33言語の多言語案内(モバイル端末の設定言語で案内)、手話・ピクトグラム・やさしいことば・ARバリアフリー案内等、様々な機能を備えています。

 日本発祥の「点字ブロック」は世界中に普及しています。「NaviLens」は「点字ブロックの分岐点でどちらに曲がったら良いのか」「目的地にたどり着いたのか」といった情報を付加することを目的としてスペインで開発されました。今では、NaviLensは視覚障害のある方だけでなく、スマートシティを実現するテクノロジーとして、世界中で使用されています。(※6.参考参照)

2.実証事業について

(1)事業概要

 本事業では、「特定非営利活動法人アイ・コラボレーション神戸(以下、アイ・コラボレーション神戸)」、神戸アイセンター内にあるビジョンパークを運営する「公益社団法人 NEXT VISION」や近畿の協力企業、視覚障害のある当事者や支援者等がチームとなり、視覚障害のある人も無い人も、安全で快適な暮らしができるスマートな神戸を実現することを目的として、NaviLens を導入し、実証実験を行っています。

 NaviLensには個人利用できる無料のパーソナルタグや、学校や協会で利用できる無料の定型タグがありますが、タグ設置者が案内内容を自由に編集でき、ルート設定やGTFSとの連携等の様々な機能を持つ「有料のNaviLens」の導入は、自治体では神戸市での取組が日本初です。

(2)実証実験(エリア)

①ルート案内に関する実証

 JR三ノ宮駅、市営地下鉄西神・山手線三宮駅、ポートライナー三宮駅の構内およびポートライナー医療センター駅構内から神戸アイセンターへの動線上の案内板、神戸アイセンター内にナビレンスを設置し、目的までの方向や距離を案内しています。

②転落防止に関する実証

 市営地下鉄海岸線御崎公園駅ホーム階において、「ホームの両側が線路であることを繰り返し案内する」「車両のドアの位置を案内する」「線路に電車がきているかどうかを案内する」といった実証実験を実施しており、視覚障害のある方からは、「事前の案内で注意しようと思える」というお声をいただいています。

実証実験時にはNaviLensを仮設置して検証を行っており、安全面を考慮し、実験実施日以外は取り外していますが、年度内には実証期間の常時設置を予定しています。

③自動販売機に関する実証

 アサヒ飲料(株)の協力を得て、ポートライナー医療センター駅構内の自動販売機にNaviLensを設置し、視覚障害のある方へ飲料の種類やボタンの位置を案内しています。

以下、今後の実証予定

④ウィンドウショッピングに関する実証

 視覚障害のある方が、NaviLensによって、気軽に「左20m先にコーヒーショップがある」「右16m先にはコンビニがある」と知ることができ、興味のある店舗の入り口まで迷わず近づき、店舗に入ることができます。店舗情報の案内により、これまで難しかったウィンドウショッピングができるようになることを目指しています。

⑤GTFSとの連携

 ポートライナー医療センター駅のホームドア上のタグに、GTFSを連携させ、時刻表に応じた案内をします。「三宮方面行電車はあと2分で到着します」といった案内が可能になります。

(3)実証期間(NaviLens設置期間)

 令和3年12月~令和4年3月末頃(予定)

*NaviLens設置期間中は無料アプリ「NaviLens」や「NaviLensGO」をモバイル端末にダウンロードしていただくことで、どなたでもNaviLensをお試しいただけます

3.実施体制

(1)実施事業者

実施事業者役割
特定非営利活動法人
アイ・コラボレーション神戸
プロジェクトリーダー(本実証事業企画・運営)
・NaviLens取り扱い法人
・地域コミュニティ形成
・データ運営・管理
公益社団法人 NEXT VISIONアジャイル開発
・NaviLens普及(設置・広報)
篠原電機株式会社NaviLens普及(設置・販売)

 

(2)協力事業者・協力機関

協力事業者・協力機関協力事項設置箇所
西日本旅客鉄道株式会社NaviLensの設置許可
および実証実施許可
JR三ノ宮駅構内
神戸新交通株式会社同上ポートライナー三宮駅および医療センター駅
神戸市交通局同上市営地下鉄西神・山手線三宮駅および海岸線御崎公園駅構内
神戸市立神戸アイセンター病院同上神戸アイセンター病院内
アサヒ飲料株式会社NaviLensの設置許可および運用ポートライナー医療センター駅のアサヒ飲料自動販売機

4.事業実施主催者よりコメント

 アイ・コラボレーション神戸は、理事長を含む16名のうちの14名が、肢体、視覚、聴覚、精神等、何らかの障害を持つスタッフです。障害を「価値」としてWeb・AI・IoTに関する製品・サービスの改善や開発を行っています。また、アクセシビリティ普及イベント(アクセシビリティの祭典)や、実証実験や現地調査等を、地域の障害当事者の方々や支援者の方々と連携して実施しています。

 アイ・コラボレーション神戸は、神戸市の姉妹都市であるスペイン「バルセロナ」で実際に街中に実装されているNaviLensを体験し、その素晴らしいテクノロジーを、スペインのNaviLensや地域の方々と共に、神戸から日本全国へ広めたいと考えています。

5.「Be Smart KOBE」とは

 世界が将来直面する人口減少や高齢化、エネルギー転換などの課題を、「先進」的な技術を活用しつつ、人間中心の目線で解決することを目指し、「Human×Smart」な都市づくりに取り組むプロジェクト。
https://www.city.kobe.lg.jp/a05822/smartcity/saisentangijutu_reiwasannendojigyou.html

6.参考

  • NaviLensアプリ(無料) 

(iPhone版)https://apps.apple.com/jp/app/navilens/id1273704914(外部リンク) 
(Android版)https://play.google.com/store/apps/details?id=com.neosistec.NaviLens&hl=ja&gl=US(外部リンク) 

  • NaviLens : ナビレンス

https://www.navilens.com/ja/#where-section(外部リンク)

  • 祝! – Tenji Blocks by NaviLens

https://www.tenjiblocks.com/index-jap.html(外部リンク)

  • アクセシビリティの祭典2021

https://accfes.com/2021/(外部リンク)

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